元世界4位で日本テニス界のレジェンドである伊達公子とヨネックスが、ともに取り組む女子トップジュニア育成プログラム「リポビタン Presents伊達公子×YONEX PROJECT ~Go for the GRAND SLAM~」の3期生第4回キャンプが、10月15日〜17日、東京都・味の素NTCインドアテニスコートにて開催されました。
今回のキャンプは「自分の武器を探る」をテーマに、深く考えることを実践しながら学ぶ機会となりました。
「自分の武器を探る」をテーマにした理由は、伊達が試合を見た時に「プレッシャーがかかった時に、本来自信を持っているはずのモノでポイントを取れていない」と感じたからです。それでは武器ではありません。そこで、武器とは何かを考えることから始まりました。
セミナーでは選手たちに自分の武器を3つ挙げてもらいました。すると、コーチ陣から見ると、武器と言えるほどではないモノが挙がってきたのです。プロから見ると、その選手の武器になりえるモノは他にありました。つまり、自分の武器を認識できていないことが浮き彫りになりました。
中山芳徳コーチ(日本テニス協会派遣)は「自分の得意ショットが武器だというわけではありません」と言います。伊達は「オンコートの中でもショットなのか、メンタルやフィジカルなのか、色々な要素があります」と説明しました。
伊達は「自分の強みを認識して、それを引き上げていくこと」で武器にしていくことを伝えていきました。
実際に世界を経験してきているプロには、自分の武器を10個挙げてもらいました。その中にはショット以外のモノも意外に多く含まれています。伊達の代名詞でもあるライジングは、「足の速さ」や「予測の良さ」という武器があったからこそ生まれました。伊達は「武器を持っていないと迷いが生じてきます。早めに頼れるものを持っておけば、そこに積み上げていくべきものが見えてきます」と、武器を作ることの大切さを話しました。
オンコートでは、パターン練習を取り入れて、できることを増やしました。そこで自分にはまるパターンがあれば、武器へと成長させられる可能性があります。ただし、「自分の武器を探ろう」と考えながら取り組んでいなければ見つけられません。
パターン練習の際に、「この状況で走らされてスライスで返球する時に、どこを狙うか?」でプロたちの激論が始まりました。打つことで相手からこういうショットを引き出したいか、ということがそれぞれ違うため、狙いも違うのです。中山コーチは「1本のショットについて、これだけ話せる要素がある。ジュニアには深く考えていることを知ってほしい」と、プロに質問を振った真意を語りました。
また、個人の課題練習という希望のショットを学ぶ時間を設けました。全員サービスを選び、動画を撮影して確認しながら行うなど、マンツーマンならではの内容となり、それぞれ上達のヒントを手に入れたようです。
フィジカルの時間は、川田真琴トレーナー(R-body project)と館崎雅治トレーナーの元、サービスの身体の動かし方を学べるボール投げや、チューブで身体を引っ張る力に対抗して止まる練習などを行いました。サービス練習や切り替えしの要素が入ったパターン練習が予定されていたため、先に負荷をかけて身体を動かすことで、オンコートレッスン時には身体を使いやすい状態になっていたようです。
また、「股関節を曲げた状態から爆発的な力を出す」とはどういうことかを理解し、その動きができるように取り組みました。この動きを意識していなかったり、理解していない人は多く、理解していても実際にその動きができていない場合も多々あります。それを理解してできるようになってきたことで、コート上での動きにも変化が見られました。
今回のキャンプには上村睦実と石井心菜が、全仏オープンジュニアの本戦ワイルドカードをかけた大会に出場できることになったため欠席となりました。4人という少人数で、2泊3日の間、じっくりと指導を受けられました。
伊達は「まだ武器に対する答えが見つかったというわけではありませんが、『自分の武器を探る』という考えを持ってプレーしていかないといけないと理解したことは感じられました。ただボールを打つだけではなく、色々なことを考えながらプレーしていくことができるようになってほしい」と今回のキャンプを総括しました。ジュニアたちは自信を持って自分の武器を言えるようになるためのスタートラインに立てたようです。
「リポビタン Presents伊達公子×YONEX PROJECT ~Go for the GRAND SLAM~」
3期生第4回キャンプ
日時:10月15日〜17日
場所:東京都・味の素NTCインドアテニスコート
参加選手:北岡美空、岩佐心優、梅田巴花、小坂莉來
講師:伊達公子、浅越しのぶ、森上亜希子、近藤大生、川田真琴(R-body project)
公益財団法人日本テニス協会から中山芳徳、館崎雅治