プロジェクト初の挑戦は、全員決勝進出という大きな成果【リポビタンPresents伊達公子×YONEX PROJECT 3期生海外遠征】

元世界4位の伊達公子が、世界で戦う女子ジュニア育成のためにヨネックスと共に立ち上げた「リポビタンPresents伊達公子×YONEX PROJECT~Go for the GRAND SLAM~」が、5月12日〜27日の2週間、初めてとなる海外遠征を行った。

今回遠征にあたって伊達は「プロジェクトを立ち上げた当初から遠征は考えていたものの、パンデミックでその機会を作れずにいた中、今回ようやく実現でき、このプロジェクトの進むべき道を感じることができました。国内ではITFジュニアを愛媛、岐阜、久留米の3か所で開催していますが、やはり環境の違う海外の大会へ遠征することで、タフさが求められることがたくさんあるはず」とこの取り組みについて語る。

そして、「意欲的にポイントを積み重ねることの大切さ、そのために必要なことを試合でやり切ることの重要性、戦いが続くことの意味を感じること」を選手たちに学んでほしいとした。

グアムで行われるITFジュニア2週間の遠征に参加したのは、藤井小夏、上村睦実、北岡美空、岩佐心優の4名、プロジェクトコーチの森上亜希子、ヨネックスの近江が引率した。

日本からの移動、そしてグアムの暑さと湿気、そして強風など、順応しなければならない要素も多い中、森上の指導の元で調整を行い、試合へ臨んだ。

 

藤井のベスト4、藤井/上村のダブルスベスト4が最高という1週目の結果となり、森上は「厳しい結果となりました。選手は個々に頑張っていましたが、『このポイント!このゲーム!』というところを取りきれなかったり、ゲームやポイントでリードしていると安心してしまい、結局落としてしまったりしていた」と、実力差がない中での結果に悔やんだ。

また、藤井はシングルスで、岩佐/北岡はダブルスで第1シードを破っていたという点でも、上位進出は現実的であったといえることから「“やり切る力、やり抜く力”を意識させて、2週目に臨みたい」と、続けた。

1週目で得た課題に対してどう取り組むかを試された2週目。遠征当初から「海外選手と交流し、ダブルスを組むこと」を伊達からも言われていた中、藤井、上村はダブルスで日本人以外の選手とのペアリングに成功し、全員が大会期間中の練習や、トレーニングにおいても、考えながら取り組む姿勢を見せるようになってきた。

1回戦を前にして、気持ちが高まる中、伊達が現地をサプライズで訪問した。突然の登場に皆が驚き、自然とさらに試合への士気も高まった様子で、その週の大会は、藤井小夏がシングルスで決勝へ。ダブルスでは北岡美空/岩佐心優が優勝、上村睦実/ABOUHAMADが準優勝し、全員が決勝へ進出するという結果となった。

 

この2週間の遠征を森上は総括した。

 

「ウォーミングアップにしても、練習コート、練習相手を見つけることにしても、最初は私の方から声をかけないと動き出さなかったのですが、途中から自ら動き出し、外国人選手と練習をしたり、ダブルスを組んだりと、2週間で大きく成長したと思います。失敗してもチャレンジすることの大切さ、試合の中でうまくいかないことがあっても、その日できる100%を出し切ることで、次につながることを学んでくれたようで、試合中に試行錯誤する姿があり、日々成長していく様子が見られました」

これにより、全員がラインキングキャリアハイを更新した。日本とは違った大会の空気を味わい、さらに試合で結果を出すことを目標に戦った2週間で、彼女たちは大きく成長したに違いない。

 

 

 

遠征参加者のコメント

藤井小夏 565位(遠征前804位)

■1週目/シングルスベスト4・ダブルスベスト4

初めての海外で、日本との気候の差に驚きました。初日は暑さと湿気で体が思うように動きませんでしたが、徐々に慣れて動けるようになりました。

シングルスでは序盤でしっかりラリーをしてポイントを重ねることができましたが、ブレークの後のゲームなど、取り切りたいという場面でポイントを落とし、自分で自分を苦しめることが多かったです。単複を通じてリードした後のゲーム、各ゲームの入り方が課題ということが浮き彫りになりました。実力や技術の問題よりもメンタルの問題が大きいので、2週目は改善していきます。

 

■2週目/シングルス準優勝・ダブルスベスト4

大会前に宣言したとおり、決勝に残ることができました。欲しいところで取り切るという課題に対しては、だいぶ改善できたと思いますが、追いついた後のゲームでイージーミスをしてしまうところが次の課題です。1週目から初めの2ポイントを集中して取ることを意識しましたが、それができている時の試合は楽に勝つことができました。

決勝では2週間の疲れが出てしまい、思うように体を動かせませんでした。自分のテニスはスライスやスピンロブを使って相手の打点を狂わせる、とにかく走ってプレッシャーを与えるというテニスだと思うので、体力も強化していきたいと思います。

海外は初めてで、わからないことも多くあった中、森上さん、近江さんの手厚いサポートのおかげで怪我なく2週間を過ごせました。「海外選手にもっと話しかけるように」と言ってくださったおかげで、単語を繋げてコミュニケーションも取れましたし、積極的に話しかけたおかげで練習に誘ってもらったり、2週目はダブルスも組むことができ、とても良い経験になりました。ここで得たことを、また次の試合に生かしていきたいと思います。

 

上村睦実 1,280位(遠征前1,518位)

■1週目/シングルスベスト16・ダブルスベスト4

シングルスもダブルスも悔しい負け方をしてしまいました。リードした時に、もったいないミスや、ダブルフォールトが出てしまい、ゲームを取りきれず逆転されてしまう場面がありました。ミスが続いた時にどんどん消極的になって、余計に振れなくなり、ミスがまた増えてしまうという、自分の勝負所の弱さやメンタルの弱さが明確になりました。何回も同じような負け方をしてしまっているので、2週目は1週目と同じ負け方をしないように、2週目の本戦が始まるまでの2日間で、セット練習をたくさんこなして、勝ち切れるように頑張ります。

 

■2週目/シングルス1回戦・ダブルス準優勝

シングルスは1回戦で負けてしまいました。1週目で森上さんに「自分の殻を破らないと」とアドバイスを頂きましたが、今週も殻を破れないままで終わってしまいました。また、簡単なミスが続いて落とすゲームが多すぎるのがもったいない、というアドバイスも頂きました。このグアムの2大会は自分の望んでいた結果では無かったですが、課題もたくさん見つかったので、次のサイパンと兵庫国際では、自分の殻を破る勇気を持って、今度こそ勝ち切れるように頑張ります。

ダブルスでは、オーストラリアの選手と組みました。試合中では英語でコミュニケーションを取り、作戦を立てたりして、お互いを鼓舞しながら戦うことができました。大事なところやミスが続いた時に振り切ることができ、少し自分の殻を破ることができました。

今回の遠征では、実際にITFジュニアを回って、海外遠征もたくさんしてきた森上さんに帯同して頂き、実際に森上さんが海外遠征の時に気をつけていることや大切にしていることを直接教えて頂きました。初日の練習はきついと思うけど、少し追い込むことだったり、東南アジアなどに行く時は、氷入りの飲み物は飲まないことだったり、テニスのことから日常生活のことまで、海外遠征のときに気をつけることを教わりました。

私は今回が初めての海外のITFの遠征だったのですが、これから海外のITFに出る機会が多くなると思うので、この遠征で学んだことを実践しようと思います。最後に、今回の遠征を計画して頂き、ありがとうございました。また、この遠征のためにゼリーやリポビタンウォーターを提供してくださった大正製薬様、2週間帯同して下さった森上さん、近江さん、ありがとうございました。今回の遠征は悔しい結果になってしまいましたが、学んだこともたくさんあるので、この遠征で学んだことを生かしていきます。

 

北岡美空 1,374位(遠征前1,841位)

■1週目/シングルス1回戦・ダブルスベスト8

グアム大会1週目は、単複ともに悔しい試合でした。シングルスは特に実力を出し切れず後悔しないプレーができませんでした。相手が攻撃してくる前、自分が攻撃する前共に、先にミスすることが多かったです。

ダブルスでは心優ちゃんと一緒に攻撃した時のチグハグ感、大事なポイントでのアンフォーストエラーが目立ちました。3日間の練習で改善します!

国内での大会でも10ポイントタイブレークを勝ちきれないことが課題です。メンタル面の弱さを克服し、2週目は自分のベストを尽くし単複ベスト4以上、最低、優勝します!

 

■2週目/シングルスベスト8・ダブルス優勝

1週目のシングルスで自分のミスの多さ、1ポイントの大切さを学んだことを生かし、2週目の2回戦では粘り強く自分のテニスをできたと思います。ミスの少ない相手のテニスに対し自分から攻め、ネットプレーが通用したことが収穫でした。小夏ちゃんとの試合では、自分の全力を出せず悔しい結果となりました。粘り強さがなく、取るべきところで取れない内容でした。今後どの試合でも我慢強さを見せられるようになりたいです。

ダブルスは優勝できて嬉しかったです!ほとんどの試合が10ポイントタイブレークでしたが、心優ちゃんと話し合いながら気持ちで戦えました。

2週目の途中では伊達さんにも見ていただき、チャンスボールの打点を落としすぎ、焦って突っ込みすぎなどのアドバイスも頂けました。また、2週間森上さんに試合を見ていただき、試合中にはポイントごとに声をかけて頂いたり、私にとって足りないことをたくさん学ばせて頂きました。今後は自分で自分に声をかけながら戦いたいと思います。

海外のITFに連れて行って頂き、海外選手とのコミュニケーションや練習相手、コートの確保がとても大変なことが学べました。今後たくさん海外の大会に出場したいと思っているので、しっかり管理しながら出ていきたいなと思いました。

最後になりましたが森上さん、近江さん、2週間本当にありがとうございました。

 

岩佐心優 1,243位(遠征前1,408位)

■1週目/シングルス1回戦・ダブルスベスト8

シングルスでは自分の簡単なミスが目立ち、試合の中で修正できず、悔いの残る試合になってしまいました。ITFレベルになると、1本のミスで大きく結果に響いてしまうのに、リターンやダブルフォールトなど、簡単なミスが多くあったことは反省です。

また、大事なところで決め切る、粘り強く戦う。これは自分に足りず、勝ち進む選手にはあるところだと思いました。

もう少し自分に自信を持ってしっかり振り抜くこと、粘り強く戦う、決め切る、足を動かす、そして自信を持つことを忘れずに2週目頑張ります!

 

■2週目/シングルス1回戦・ダブルス優勝

シングルスでは勝ち負けにこだわらない。粘り強く相手とラリーをして、相手の特徴を見つける。これを目標に、2週目に挑みました。結果は負けてしてしまいましたが、1週目よりも確実に粘り強く戦えたと思います。

「自分の中で描いたプレーができる時もあるけれど、できないことの方が多い」伊達さんからのアドバイスです。できない中でどうするか。これを試合中に考えて行動する。これはこれからの課題です。

例えば4-1リードの時、自分では集中していたつもりでも、心のどこかが緩んでいたかもしれません。そんな時、もう一段階ギアを上げる。これについてもこれからの課題です。そして、思うようにプレーができない時、「できないやー」で終わらせるのではなく、できないときこそ、できることをする。これは今の自分に1番大切だと思いました。

ダブルスではITF初優勝することができました。全ての試合が簡単ではなく、ファイナルまでもつれた中、数ポイントの差で優勝まで行くことができました。決め切る、取り切る。1ポイントがどれだけ大事かを改めて感じました。

また、ダブルスではチームワークの大切さを感じることができました。コミュニケーションだけでなく、ペアの打ちやすいボールを打ってあげること、そして気持ちを出す。これはチームワークの中で大切だと思いました。

自分は感情をあまり表に出すタイプではないですが、ダブルスで一緒にプレーしている限り、どっちかが決めたら2人のポイントだから、少しは感情を表に表現できるように頑張っていきます。

今回、海外遠征に帯同してくださった森上さん、近江さんをはじめ、この遠征に関わる全ての皆様のお陰で、今、ここにいられていると感じます。プロジェクトを背負っての海外は緊張の中の試合でしたが、とても良い経験になりました。

近々長期のヨーロッパ遠征が待っています。ヨーロッパは強い選手がたくさんいますが、自分の頭脳を信じて頑張ります!2週間ありがとうございました!

 

◆GUAM WORLD TENNIS TOUR◆

J60 Dededo (2024年5月15日〜19日 アウトドア・ハード シングルス32ドロー、ダブルス16ドロー)

Week 1  結果

シングルス

藤井小夏 ベスト4

上村睦実 ベスト16

岩佐心優、北岡美空 1回戦敗退(ベスト32)

ダブルス

藤井小夏/上村睦実 ベスト4

岩佐心優/北岡美空 ベスト8

 

GUAM WORLD TENNIS TOUR◆

J60 Dededo (2024年5月22日〜26日 アウトドア・ハード シングルス32ドロー、ダブルス16ドWeek 2  結果

シングルス

藤井小夏 準優勝

北岡美空 ベスト8

上村睦実、岩佐心優、1回戦敗退(ベスト32)

 

ダブルス

北岡美空/岩佐心優 優勝

上村睦実/ABOUHAMAD,Leanne(AUS) 準優勝

藤井小夏/DENG,Peien(CHN) ベスト4

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